気・血・水という考え方
東洋医学では、体を巡るものを3つに分けて考えます。生命エネルギーである「気」、栄養を運ぶ「血」、体を潤す「水」。この3つが過不足なく巡っている状態が健やかさであり、どれかが滞ったり不足したりすると不調として現れる、という捉え方です。
西洋医学に慣れた私には、最初これがとても不思議に思えました。検査で測れるものではないからです。でも学ぶうちに、これは「体全体のバランスを言葉にするための地図」なのだと理解するようになりました。
血液検査で異常がないのに不調が続く。そんな経験をされた方は少なくないと思います。西洋医学が「どこが壊れているか」を見るのに対し、東洋医学は「全体のバランスがどう傾いているか」を見る。両方の視点があると、体をより立体的に捉えられます。
瘀血(おけつ)とは
血の巡りが滞った状態を、東洋医学では瘀血と呼びます。女性の健康の分野でよく語られる概念で、次のようなサインと関連づけられます。
- 月経時の経血に塊が混じる
- 月経痛が重い、痛む場所が決まっている
- 顔色がくすむ、目の下のクマが目立つ
- 唇や歯ぐきの色が暗い
- 肩こりや頭の重さが慢性的にある
- 手足が冷えるのに、のぼせを感じることがある
これらは病名ではありません。あくまで東洋医学の物差しでみた「傾き」です。当てはまるからといって心配しすぎる必要はなく、体を整えるヒントとして受け取ってください。
なぜ女性は巡りが滞りやすいのか
東洋医学では、女性の体は血と深く関わると考えられてきました。月経、妊娠、出産と、血の状態が大きく変化するライフステージがあるためです。
加えて、現代の生活環境も影響します。一年中の冷房、デスクワークによる長時間の同じ姿勢、締めつけの強い衣類、冷たい飲み物、睡眠不足やストレス。どれも巡りには不利に働きます。30代になって不調を感じ始める方が多いのは、こうした要因が積み重なる時期だからかもしれません。
日常でできる養生
東洋医学の魅力は、特別なことをしなくても日常に取り入れられる点にあります。
- 温める——お腹、腰、足首。冷やさないことが何よりの基本です。
- 動かす——巡りは動きによって促されます。歩く、伸ばす、深く呼吸する。
- 休む——睡眠は血を養う時間と考えられています。夜更かしは巡りにも不利です。
- 食べ方を整える——温かいもの、よく噛むこと。詳しくは食事の記事で。
東洋医学の考え方は、体を整えるヒントとしてとても有用だと感じています。ただし、これは診断ではありません。症状が強いとき、急に現れたとき、いつもと違うときは、必ず医療機関を受診してください。西洋医学でしか分からないこと、西洋医学でしか治せないことが確かにあります。
私は現在、鍼灸師の国家資格取得に向けて学んでいます。西洋医学と東洋医学、どちらかを選ぶのではなく、両方の視点からお一人おひとりに向き合えるセラピストでありたいと思っています。